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中国不動産大手恒大の清算-災いか好機か

清算以外の打つ手がなくなった中国不動産大手の恒大は事業を終了することになり、清算人は3000億ドルの負債を取り戻そうとしています。

恒大の株式は全滅に近い状態ですが、これが市場全体にどのような苦難の波をもたらすかはまだわかっていません。

恒大のプロジェクトや関連する開発事業が停止するため、中国への輸入が大幅に減少する可能性があります。

コモディティ需要の低迷とパニック的な売りや不確実性が相まって、世界的な株価指数市場の低迷や為替市場の混乱をもたらすかもしれません。

 

これからどうなるのか?

清算人は、債権者にできるだけ多くの資金を回収し、貸し手のバランスシートの損失を減らすことを目指しています。

大口投資家に不動産をにまとめて売却する、プロジェクトを個別に売却する、資産を持っている個人を探す、プロジェクトを引き受け、分割価格で資産を購入してくれる可能性がある個人投資家を探すなど、いくつかの選択肢があります。

恒大に融資している銀行や金融機関にとってこれは良いニュースではありませんが、中国の不動産市場の危機を乗り超える資金と回復力を持つ人々にとってはチャンスとなる可能性があります。

 

人的資源への負担

プロジェクトの開発に携わる人材に対する影響は多岐にわたり、建設業者、エンジニア、弁護士、プロジェクトマネージャーなど、多くの人々が恒大のプロジェクトから収入を得ています。

これらのプロジェクトが中断されたり、別の所有者が所有権を待つことになり、新たなプロジェクトの方向性が示された場合、プロジェクトにかかわる人々の雇用が失われたり、大幅に削減される可能性があります。その結果、恒大の清算命令は、これらの下請業者や従業員に影響を与え、同時に求人市場には仕事を失った労働者が急増することが予想されます。

会社の規模とこれまでの苦労を考えると、恒大は簡単に売却できるような企業ではありません。そのため、解決策を見つけるために長い期間をかけて努力する必要があります。

 

天然資源への影響

コモディティもその影響を受けるでしょう。需要の低下が価格に影響を与え、オーストラリアやカナダなど、資源輸出に大きく依存する国々も苦境を強いられる可能性があります。

建築資材やその製造に使われる製品は、少なくともプロジェクトに関する問題が解決するまでは需要が落ち込むでしょう。

 

大規模なプロジェクト

恒大は中国の280以上の都市に1300以上のプロジェクトを持っており、清算人は大きな仕事を抱えています。1300ものプロジェクトを売却するのは簡単なことではありません。多くの清算作業が必要となり、資産の代替所有者を見つけるために長い時間がかかるでしょう。中国の不動産市場で恒大のプロジェクトを購入したい投資者がいるかどうかも大きな問題となっています。

最終的には、投資家や他の大手開発業者が清算人からプロジェクトを購入する合意に達する時が来るかもしれませんが、彼らが購入するプロジェクトの割合が重要となるでしょう。

多くの開発業者が恒大の動向を注視し、取引の機会をうかがっていると考えられます。

 

不確実性

不確実性により、多くの場合ボラティリティが高まり、企業の価値が減少し、これによりインデックス市場に影響を与えるでしょう。ハンセン指数がここしばらくの間、どのように下落しているかを確認し、今後さらに下落するかどうかに注目してみてください。ハンセン指数は、2022年末の安値を除けば、久しぶりの安値水準に近づいています。

不動産市場、雇用、経済における不確実性は、中国やその他の国々に大きな影響を与えるでしょう。しかし、もし投資家が恒大の清算人からプロジェクトを買い取る場合、今後の展開が大きく変わる可能性があります。

 

新たな投資家による新たな規則

仮に投資家がプロジェクトを購入する場合、恒大ほど厳しい監査はないかもしれません。これにより、プロジェクトがより迅速に、または革新的な水準で進行する可能性があります。小規模なプロジェクトにより焦点を当てることができ、商品、賃金、下請業者のコストを抑えることにつながり、経済全体にとってもプラスになるかもしれません。